Design Brand Management By Nagasawa Shinya

デザイン&ブランドマネジメントby長沢 伸也先生 (Design & Brand Management by NAGASAWA, Shinya) (参考書17冊)

授業情報

科目名 デザイン&ブランドマネジメント
担当教員 長沢 伸也
使用教室 01:11-913(指導室) キャンパス 早稲田
備考
科目キー 3500022407 科目クラスコード 01
シラバス情報
最終更新日時:2009/04/13 09:27

講義概要  
本講議では、定量的に価値の測れないデザインや感性的な価値をいかにマネジメントするか(狭義のデザインマネジメント)、その企業らしさ・ブランドをいかにデザインするか(広義のデザインマネジメントおよびブランドマネジメント)について企業事例を中心に学びます。特に、講義の前半では、その企業らしい新商品を開発しヒットさせることによりブランドを確立する(逆ではない)ことに焦点を当てます。講義の後半では、高くても売れる商品・熱烈なファンのいる商品やブランドに焦点を当てます。この意味で、プレミアム・マーケティングあるいはブランド・マネジメントということもできますが、ブランド価値を収益や時価総額といった結果系で測るブランド・マネジメント論とは一線を画します。

シラバス
(授業計画)  
本年度の授業計画は以下の予定ですが、受講者の興味や理解度、担当者の学会出張などに応じて変更する場合もあります。

第1回 デザインマネジメント入門:デザインマネジメントとは何か
第2回 INAXのデザイン戦略、ホンダのデザイン戦略経営:「シビック」「プレリュード」「オデッセイ」の商品開発
第3回 日産らしさ、ホンダらしさ:日産「X-TRAIL」、ホンダ「フィット」等の商品開発
第4回 感性をめぐる商品開発:感性と商品開発、トヨタ「レクサス」等の商品開発
    感性商品開発の実践:環境対応商品の市場性、コーセー「雪肌精」、三菱電機・感性家電等の開発
第5回 大ヒットを生む商品開発へのこだわり:キリン「生茶」・明治製菓「フラン」の商品開発
第6回 ヒット商品連発にみるプロダクト・イノベーション:キリン「ファイア」「生茶」「聞茶」等の商品開発
第7回 プロジェクトマネジャーの熱い想いと冷静な判断:ドコモ「iモード」、ワコール「シャキッと・ブラ」等の商品開発
第8回 中間考査
第9回 感性を揺さぶるものづくり:INAX「SATIS」、京都企業「一澤帆布」、サッカーJ1「アルビレックス新潟」等の経験価値創造
第10回 経験価値ものづくり:シャープAQUOS, ワコールDIA, コクヨ カドケシ、バンダイ リトルジャマーの経験価値創造とデザイン戦略
第11回 老舗ブランド企業の経験価値創造:京菓子司「末富」、香老舗「松栄堂」、ラグジュアリー最高峰「エルメス」にみる顧客との出会いのデザインマネジメント
第12回 老舗ブランド「虎屋」の伝統と革新:経験価値創造と技術経営
第13回 伝統・地場企業のプレミアム戦略:ソメスサドルの高級鞄、栗山米菓の1万円煎餅、印傅屋上原勇七の甲州印傅、NUSSHAのモダン漆器、ハナマルキの高級味噌、カイハラの高級デニム、白鳳堂の高級化粧筆
第14回 ラグジュアリー・ブランドのマーケティング戦略:「ルイ・ヴィトン」の法則
第15回 ラグジュアリー・ブランドのマーケティング戦略:「シャネル」の技術経営、期末考査

  • 木曜日7時限はビジネス専攻MOTプログラムとマネジメント専修との合併科目ですが、MOTプログラム主設置のため、MBA/MOTプログラムの学年暦に拠ります。このため、マネジメント専修の受講者は以下の日について特にご注意ください。

・期首開講日   MBA/MOTプログラムの集中講義と重なる場合は、開講日が遅くなります)。
・商研デー    講義を致します。
・修論指導期間  講義を致します。
・期末補講日   学会出張等で休講がある場合にはこの日に補講を致します。
教科書  特に指定しません(さまざまな企業事例を中心に紹介するため、1冊の教科書ですべての講義回を網羅することは不可能という意味です)。
参考文献 [第1回]ブリジット・ボルジャ・デ・モゾタ、河内奈々子、岩谷昌樹、長沢伸也共著『デザインマネジメント(仮題)』同友館、印刷中
[第2回]長沢伸也・岩谷昌樹共編著、佐藤典司・岩倉信弥・中西元男共著『デザインマネジメント入門-デザインの戦略的活用-』京都新聞出版センター、2003年
[第3回]長沢伸也・木野龍太郎共著『日産らしさ、ホンダらしさ-製品開発を担うプロダクト・マネジャーたち-』同友館、2003年
[第4回]長沢伸也編著『感性をめぐる商品開発-その手法と実践-』日本出版サービス、2002年
     長沢伸也編著『感性商品開発の実践-感性の商品要素への転換-』日本出版サービス、2003年
[第5回]長沢伸也・川栄聡史共著『キリン「生茶」・明治製菓「フラン」の商品戦略-大ヒットを生む商品開発へのこだわり-』日本出版サービス、2003年
[第6回]長沢伸也・榎新二共著『ヒット商品連発にみるプロダクト・イノベーション-キリン「ファイア」「生茶」「聞茶」「アミノサプリ」ブランド・マネジャーの言葉に学ぶ-』晃洋書房、2006年
[第7回]長沢伸也編著、早稲田大学ビジネススクール長沢研究室(大貫明人・検見崎兼秀・石川誠・梅田學・榎新二・豊泉光男)著『生きた技術経営MOT-プロジェクトマネジャーの言葉-』日科技連出版社、2004年
[第9回]長沢伸也編著、早稲田大学ビジネススクール長沢研究室(山本太朗・吉田政彦・入澤裕介・山本典弘・榎新二)著『ヒットを生む経験価値創造-感性を揺さぶるものづくり-』日科技連出版社、2005年
[第10回]長沢伸也編著、早稲田大学ビジネススクール長沢研究室(藤原亨・山本典弘)共著『経験価値ものづくり-ブランド価値とヒットを生む「こと」づくり-』日科技連出版社、2007年
[第11回]長沢伸也編著、早稲田大学ビジネススクール長沢研究室(入澤裕介・染谷高士・土田哲平)著『老舗ブランド企業の経験価値創造-顧客との出会いのデザイン マネジメント-』同友館、2006年
[第12回]長沢伸也・染谷高士共著『老舗ブランド「虎屋」の伝統と革新-経験価値創造と技術経営-』晃洋書房、2007年
[第13回]長沢伸也編著、早稲田大学ビジネススクール長沢研究室(植原行洋・須藤雅恵・島田了)共著『地場・伝統産業のプレミアムブランド戦略-経験価値創造と技術経営-』同友館、印刷中
[第14回]長沢伸也編著、大泉賢治・前田和昭共著『ルイ・ヴィトンの法則-ラグジュアリー・ブランドのマーケティング戦略-』東洋経済新報社、2007年
[第15回]長沢伸也編著、杉本香七共著『シャネルの技術経営(仮題)』東洋経済新報社、印刷中
上記以外にも適宜紹介します。
成績評価方法  原則として、学力考査によります。
中間考査  50%
期末考査  50%
 ただし、以下の条件を満たす「試験に代わる特別レポート」を選択してもよいこととします。
(1) 対象が感性に訴える商品であること
(2) 社長または開発責任者へのヒアリングを講義担当者同席で実施すること
(3) 字数2万字程度で、出版に耐えられるような高い完成度であること

経験価値

顧客経験価値 とは

コキャクケイケンカチ

Customer Experience

「SENSE」「FEEL」「THINK」「ACT」「RELATE」

品質や機能といった商品・サービスそのものの価値ではなく、購入したり使用する過程の“経験”から得られる価値。商品の付加的魅力として差異化要因になる。

 私たちは車を買うときに、どのように選ぶでしょうか。もちろん、燃費や室内の広さといった性能面や、価格は大きな判断材料になるでしょう。しかしそれ以上に、見た目の雰囲気や、試乗したときの乗り心地といった要素が重要です。販売店でくつろいで選べるかどうか、営業担当者が親切かどうかなども考慮に入れるかもしれません。買った後に、周りから「センスがいい」「社会的地位がある」と思われるかどうかまで考える人もいるでしょう。

 このように、車を買うときには、単に物を買うのではなく、車を選ぶ喜びや、その車を保有すると名声を得られるという優越感を買っていると考えたほうが適切です。

 このような、商品・サービスを消費する過程における“経験”が持つ価値を「顧客経験価値」といいます。米国の経営学者であるバーンド・H・シュミット氏の著書(日本語訳はダイヤモンド社『経験価値マーケティング』)などを通じて広まりました。
◆効果
品質以外の要素で差異化

 そこでしか得られない経験や感動を提供できれば、顧客に「多めにお金を払ってでも買いたい」と感じてもらえる強烈な差異化要因になります。特に、価格や品質の競争が行き着くところまで行った成熟市場で効力を発揮します。

 シュミット氏は、顧客経験価値を「SENSE」「FEEL」「THINK」「ACT」「RELATE」という5種類に分けて説明しています。SENSE(感覚的経験)は、「見た目が超薄型で格好いいノートパソコン」など五感に訴える価値のこと。RELATE(準拠集団との関連による経験)は、その商品を持つ人が互いに結び付きを感じ、ほかの人とは違うという感覚を持つことによる価値です。

 顧客経験価値(CE)と似た言葉に「顧客満足(CS)」があります。多くの場合、CSは商品・サービスを購入した直後に満足したかどうかという結果を指す概念です。一方でCEは、意思決定から購入・使用を含めたより広いプロセス全体に焦点を当てています。
◆事例
販売店まで見直す

 V字回復を果たした日産自動車は、経営再建に当たりブランドの再構築を重要課題に掲げました。日産が提供する価値を、車の機能である「装備価値」だけではなく、デザインや運転しやすさといった「非装備価値」、販売員の能力といった「販売価値」まで含めて定義。車体デザインを改良するだけではなく、ショールームや販売店を改装したり、販売店チラシのイメージを全国で統一するなどの施策を実行し、成果を上げました。

Reference:
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Keyword/20070202/260514/
(清嶋 直樹)

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